町並み百選
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2021年04月15日
みちのくの小京都 角館と秋田の町並み
プランニング事業本部 吉田義和
例年になく早い春の訪れとなった今年、東北にも間もなく桜のシーズンが到来します。東北の三大桜の名所といえば、岩手の北上展勝地、弘前の弘前公園と並び、角館の武家屋敷群が挙げられます。武家屋敷の町並み一面に咲くシダレザクラは、旅行者の心を惹き付けます。もちろん夏の緑豊かな景色も風情があり、美しいものです。今回は、「みちのくの小京都」と言われる角館と、佐竹氏の城下町として栄えた秋田の町並みをご紹介します。
芦名氏が造り、佐竹氏が育んだ「小京都」角館
角館を訪れると、11メートルという広い道の両側に黒塀が並び、武家屋敷群が整然と並んでいる、その姿に圧倒されます。江戸時代に造られた武家屋敷は80戸。現在の町割りも殆ど当時と変わっていません。単一の武家屋敷群としてここまでの規模が残るのは、ここ角館だけと言われています。武家屋敷なのに、なぜ小京都?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、これには歴史があるのです。江戸時代初頭、芦名氏がこの地に転封され、現在は失われた古城山の南麓に武家屋敷を築きました。城に近い地域には広々とした武家町を。「火よけ」と呼ばれる広場を挟んで南側には商人街をと直線的に町割りが為されているのが特徴。これは、戦の無い平和な江戸時代だからこそつくることができた町並みです。芦名氏が三代で断絶した後は秋田藩佐竹氏の一部となります。角館入りした領主の佐竹義隣(さたけよしちか)は京都の公家出身で、京都の雅な文化を角館に取り入れようと角館にしだれ桜を植え、角館の山河に京に因んだ「加茂川」などの名前を付けました。京都の公家文化と、武家社会の文化がみちのくの地で奇跡的に融合した地、それが角館なのです。角館は、京都祇園や萩、白川郷、妻籠と並び、1976年に初の重伝建登録を受けた町のひとつ。日本を代表する古い町並みです。
秋田を歩けば 発見がいっぱい
角館をはじめ、なまはげの男鹿半島や白神山地など、周囲に見どころの多い秋田県ですが、県庁所在地、秋田の魅力はあまり知られていないのではないでしょうか。城自体は残っていませんが、伊達政宗の従兄にあたり、南北朝時代から続く名家佐竹家の佐竹義宣(よしのぶ)が常陸国から転封され、久保田城を建設。以来佐竹氏が秋田の町を治めてきました。(現在の秋田県知事、佐竹敬久氏も佐竹氏の末裔です。)現在城跡は千秋公園として市民の憩いの場となっています。7月になるとお堀には見事な蓮の花が咲き、訪れる人を魅了します。お堀を歩いていてカラフルなパラソルを見つけたら、ぜひ寄ってみてください。秋田の名物「ババヘラ」の露天です。お婆ちゃんがヘラで作ってくれる花の様なアイスで、パラソルに負けず見た目もカラフル。夏の日中に丁度良い清涼感を与えてくれます。
千秋公園から旭川を渡ると、川反(かわばた)通りがあります。現在は繁華街となっていますが、かつては多くの芸妓を抱える花街でした。「秋田美人」という言われは、ここ川反芸妓から生まれた、とも言われています。現在、伝統の芸妓文化を存続させようと「会える芸妓」活動が行われており、芸妓さんと秋田の町や美術館を巡る面白いプログラムも行われています。
秋田といえば比内地鶏 夜食のラーメンも外せない
秋田といえば「きりたんぽ」のイメージが強いですが、個人的には比内地鶏をおすすめします。ツアーでもよく宿泊する千秋公園界隈にある「本家あべや」は、比内地鶏の生産者直営店。地元秋田っ子にも人気のお店です。もちろん水炊きやきりたんぽも味わえますが、締めにはぜひ比内地鶏の親子丼をいただいてください。弾力ある鶏肉の旨味が最高です。それでも夜、すこし小腹が空いたという方にお勧めなのは気軽にいただけるラーメン。東北一円で人気のラーメン店「末廣」はここ秋田が本店。昭和十三年、京都の新福菜館から伝わった屋台の味を守る老舗ラーメン店。私も秋田を訪れたら必ず訪れています。
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