進化し続ける芸術都市マドリッド

マドリッドは、スペイン王家が築き上げた芸術と文化の精髄が息づく優美な首都です。世界屈指のコレクションを誇る王立プラド美術館では、ベラスケスやゴヤなど巨匠たちの傑作群を、ティッセン・ボルネミッサ美術館ではフランドル派から印象派まで、珠玉の名画の数々をガイドと共にじっくりと堪能できます。かつては治安の懸念もあった街も、この7、8年で大きく変貌を遂げました。王宮を中心とした気品ある街並みは、さらに洗練さを増し、ミュージアム地区には緑豊かな並木道が整備され、歩行者に優しい空間が広がっています。スペイン広場も美しく生まれ変わり、地元の家族連れでにぎわう憩いの場となりました。伝統と革新が調和するマドリッドの魅力は、サン・ミゲル市場にも表れています。19世紀の建築を活かしながら、モダンなグルメマーケットとして生まれ変わった市場では、スペインの食文化を気軽に楽しめます。

アランフェスでは「アランフェス協奏曲」のプライベートコンサートをお楽しみください

マドリッド郊外に佇むアランフェス王宮は、ブルボン朝の夏の離宮として栄えた優雅な宮殿です。18世紀に完成したロココ様式の宮殿と、幾何学的なフランス式庭園は、スペイン王家の栄華を今に伝えています。この地で生まれた名曲「アランフェス協奏曲」は、作曲家ホアキン・ロドリーゴが、宮殿の庭園で過ごした春の香りや噴水の音、鳥のさえずりから着想を得たと言われています。このたびは、スペインギターによる「アランフェス協奏曲」の演奏を間近で堪能いただく、プライベートミニコンサートをご用意しました。スペイン古典ギター音楽の真髄に触れるひとときは、まさに時が止まったかのような贅沢な体験となるでしょう。

古都トレドに宿泊。エル・グレコが愛した風景

中世の面影を色濃く残す世界遺産トレド。ユダヤ教、イスラム教、キリスト教の三文化が融合したこの街で、画家エル・グレコは魂の表現を極めました。街のシンボル、サント・トメ教会に残る傑作「オルガス伯の埋葬」では、地上と天上の世界を劇的に描き、その神秘的な表現は見る者の心を揺さぶります。迷路のような石畳の路地を抜けると、大聖堂やアルカサルなど、中世の建造物が重なり合うように立ち並び、まるでエル・グレコの絵画のような神秘的な景観が広がります。特に夕暮れ時、タホ川の流れと共に黄金色に染まる街並みは、画家が愛してやまなかった風景そのものです。

美への情熱が生んだ至宝の殿堂 　ティッセン・ボルネミッサ美術館

ドイツの実業家ハインリッヒ・ティッセン＝ボルネミッサ男爵とその息子ハンス・ハインリッヒが、約50年の歳月をかけて収集した珠玉のコレクションが、この美術館の核となっています。1993年、スペイン政府がこの稀有なコレクションを購入し、マドリッドの中心地に位置する18世紀の貴族の邸宅を改装して一般公開を始めました。デューラーやカラヴァッジョの古典から、モネ、ゴッホの印象派、ピカソやダリまで、西洋美術の精髄を一堂に集めた世界有数のプライベートコレクションは、必見の美術館です。

マドリッドの美食の殿堂 　サン・ミゲル市場

1916年創業の歴史的建造物に息づく美食市場サン・ミゲルは、マドリッドの食文化を凝縮した魅力的な空間です。アート性の高いガラスと鉄骨の建築内には、スペイン各地の選りすぐりの生ハム、チーズ、タパス、ワインなどが並び、地元の人々や観光客が食文化を楽しむ社交場として賑わいを見せています。

マドリッドの夜を彩る バル巡りの聖地

ラ・ラティーナ地区やマラサーニャ地区、そしてチュエカ地区は、マドリッドを代表するバル巡りのメッカです。特に、ソル広場からラ・ラティーナに続くカバ・バハ通りは、伝統的なタパスバルが軒を連ね、スペイン人お気に入りの美食街道として知られています。近年は治安向上により、深夜までバル巡りを楽しむ地元客や観光客で賑わいを見せています。各店の個性的なピンチョスやタパス、地元ワインを少しずつ味わいながら、次の店へと移動するタパス文化は、マドリッドの夜の醍醐味。気さくな店主と常連客とのやりとりなどを眺めながらのバル巡りもマドリッドの楽しみのひとつです。