【海外】帰国しました。添乗員レポート

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2025年11月23日

【帰国レポート】帆船ダハベイヤでゆくエジプト・ナイル川クルーズの旅

<2025年11月12日(水)~11月23日(日)12日間 添乗員:大阪支店 信濃 貴宣>

エミレーツ航空ファーストクラスのシリーズ初となるアフリカの旅に行ってまいりました。エジプトを何度も旅したことのある私も、今回ほど「“変化」 と「再発見」を強く感じた旅はありませんでした。同様に、多くのお客様からも「エジプト観が変わった」とのお声を頂戴しました。ワールドでも初めて利用したダハベイヤと呼ばれる帆船、船名はエジプト原初の神の名を冠した「ヌン号」に乗ってのナイル川をクルーズの中で、感じたことを皆様にご紹介いたします。

帆船ダハベイヤ「ヌン号」(帆を張っているときの姿)

新しいクルーズのスタイル「ダハベイヤ」と静謐のナイル

今回の旅が特別だった理由のひとつは、やはりダハベイヤという船の存在でした。エンジンルームを持たないこの伝統的な帆船は、タグボートに牽引されながらゆっくりと進むため、船内には騒音がありません。日中は柔らかい陽光が川面に揺らぎ、岸辺にはバナナの木や畑で働く人々の姿がぽつりぽつりと現れます。観光船が300隻以上行き交うナイルにあって、こうした静かな時間を味わえるのは稀有な体験です。

ガイドさんもついテンションがあがってしまいます!
眺めの良さにうっとりするガイドさんの姿

夕暮れ時のティータイム、帆を上げた姿をタグボートに乗り替えて撮影するひととき、そしてスタッフの温かく丁寧なホスピタリティ。すべてが特別で、忘れられない体験となりました。
そして、ダハベイヤの真価は停泊地にありました。町の桟橋ではなく、あえて郊外の自然の中へと舫うため、夜には外灯も車の音もありません。空を見上げれば、乾いた空気に星が近く、はっきりと瞬いています。

沈みゆく夕日をいつまでも眺めるお客様の姿
広々としたサンデッキ
船内のお食事の様子
船内はビッフェスタイル

翌朝、霧が静かに川面を覆い、金色の光がゆっくりと差し込む光景は、お客様の多くが「忘れがたい朝」と口を揃えられたほど。雄大なナイル川が同時にとても「静か」な川でもあるという事を教えてくれたのが、このダハベイヤでした。

静寂の朝霧に包まれて目を覚ます贅沢
スタッフはとてもフレンドリー
客室内のタオルアートもエジプトらしい
我々日本人のために鮭ご飯を用意してくれました
添乗員がナイル川で釣りをしてみたいといったら釣り竿を用意してくれました(残念ながら釣れませんでしたが…)。できる限り希望に寄り添うのがこの船のモットーだそう
タグボートに乗り換えて帆を張って進むヌン号を眺める
ハイライトといっても良い迫力あるシーンでした

アル・ラマディ島でのふれあいも新鮮でした

シェフが串焼きをたくさん用意してくれました
食事中、演奏を聴くお客様の様子
ウードを弾く演奏者の渋い歌声とタブラのリズムがエキゾチック
音楽に合わせお客様も踊りましたがへとへとになりました

旅の中でもひときわ心に残ったのが、停泊したナイルの川の中州、アル・ラマディ島です。到着日の夜は船を降りたところでバーベキューパーティー。そして、翌朝のひとときです。

バナナの森を抜けました
元気で冗談の好きなアスーマさんとのやり取りを楽しむお客様たち

バナナ林を抜け、島の家に案内されると、パン窯の前でこの家の奥様である、アスーマさんが私たちを出迎えてくれました。彼女が手際よく生地をこね、火を調整する姿には、土地に根付いた暮らしの確かさがあり、私たちがぎこちなくパンを作る様子を見ては、冗談を言ったり笑顔を返してくれました。

焼きたてのパンをふるまうアスーマさん

焼きたてのパンの香りと、ミントティーの爽やかな香りが混じり合い、交流を楽しんだ朝の出来事です。観光ではなく「生活にふれる旅」を実現できた瞬間であり、皆様からも「エジプトの人の温かみにふれた」とのお声を頂きました。

ひょいひょいと、簡単そうに幾つものパンを焼くアスーマさん
パン焼きに挑戦、大きなパンでしたがお土産として持って帰れます。
畑で摘んだミントを入れたミントティー
焼きたてのパンと一緒にいただきました!

アル・ラマディ島のように、ダハベイヤ船でしか訪れることができないような場所を多くのクルーズ船が通り過ぎ、私たちの船を追い越していきました。そのとき気づいたのは、我々と同じスタイルの船ダハベイヤもあちこちで見かけること。聞いたところによると、現在30隻ほどのダハベイヤがナイル川を行き来しているようです。エジプト旅行のスタイルも変わってきたのだと実感した瞬間でした。

我々の乗るダハベイヤ船が停泊する場所を通り過ぎる大型船
他のダハベイヤ船がタグボートに曳かれている姿もよくみかける

ダハベイヤだからこその観光地エルカブ、シルシラ遺跡

喫水の浅いダハベイヤだからこそ訪れることができた場所があります。それが今回の観光地、エルカブと、シルシラ遺跡です。

エルカブでの下船地は使われなくなったリン鉱石の積み上げ港でした

港からバスで訪れたエルカブの岩窟墓地群は、観光地化が進みすぎていない静かな遺跡で、古代の造り手たちの手跡が残っているような生々しさがありました。この辺りは王国が生まれる前、まだこの地がサバンナだった太古の昔から人々が暮らしていた痕跡もあり、石の色は太陽に焼かれ枯れたように見えますが、その影には人々が生き、祈り、去っていった痕跡が確かに刻まれています。

エルカブ岩窟墓地群のそば、禿鷲の岩に描かれた太古の動物たち
ファラオの時代より前の動物岩絵には、皆様大興奮!
動いていないベルトコンベヤ沿いに船に戻りました

通常のクルーズ船に乗っていた時は、気づかずに通り過ぎていたシルシラ遺跡です。この辺りはエジプトのナイル川でも最も川幅が短く、対岸まで400ⅿしかありません。シルシラ遺跡は、古代の巨大な採石場がどこまでも続き、人が岩を切り出した溝の跡が幾重にも積み重なっています。川沿いに続く採石場を歩いていると、ナイル文明がこの場所からどれだけ石を運び、神殿を築き上げていったのかを想像せずにはいられません。

通り過ぎるクルーズ船を横目に石切り場の見学へ。対岸も古代の石切り場でした
石切り場には神殿や礼拝所が彫られ、私たち以外のダハベイヤ乗船客にも人気の観光地になっているようです
この画像では伝えきれませんが、とても迫力のある石切り跡です
船からみるシルシラ遺跡、この異様な光景に気づけば誰もが訪れたいと思うでしょう

遂に正式オープンした大エジプト博物館(GEM)

エジプト旅行における新しい目玉となったのが、大エジプト博物館(GEM)。11月の上旬に全面開館、そして一般公開が始まりました。GEMにできた太陽の船の展示館やツタンカーメン王の専用展示室は弊社でも初めてご案内となりました。

長い年月をかけて準備されてきたこの博物館は、展示物の数が1万点以上。時代ごと、テーマごとに整理された展示は、古代エジプトの王権・信仰・社会の三つの柱を丁寧に紐解いてくれます。ツタンカーメン王の秘宝が並ぶ特別室では、約6000点といわれるツタンカーメン王の遺物の輝きがただ美しいだけでなく、王の死生観を現代に伝える静かな説得力に満ちていました。お客様の中にも「迫力があり、理解しやすかった」との声が多く寄せられました。

また、館内にはお洒落なカフェやショップも揃い、これまでの「博物館」のイメージとは一線を画します。エジプトが新しい時代に向けて動いていることを強く感じさせる施設でした。

遂にご尊顔に対面!秘宝中の秘宝「黄金のマスク」
遂に正式オープンを迎えた大エジプト博物館(GEM)
日本政府の協力に感謝し、日本語表記の説明も多い
久しぶりの展示となるクフ王の「太陽の船」
入れ子構造になっているツタンカーメンの厨子
そして、純金でできたツタンカーメンの棺
博物館の中にあるお洒落なカフェでのランチでした

開発が進むエジプトの「いま」

国土の大半を占める砂漠地帯に新たな開発が次々と広がることも実感しました。ダハベイヤを下船したアスワン郊外の新しい船着き場建設や、その対岸で進む「ニューアスワン」の造成、さらにカイロ近郊で急ピッチで進む「新首都」の整備など、国全体が未来へ向けて大きく動き始めています。今回の旅は遺跡を巡るだけでなく、エジプトという国がどの方向へ歩もうとしているのか、その息づかいを肌で確かめる時間でもありました。たとえば、ギザの三大ピラミッドやスフィンクスを訪れた際、私たちは新しく導入された電気バスで移動しましたが、これは数年前には想像もできなかった光景です。観光インフラが持続可能な形へと静かに姿を変えつつあることを実感し、古代と現代がゆるやかに重なり合う瞬間でした。人口が急速に増え、活力を増す現在のエジプトは、数年後に再び訪れればまた違う表情を見せてくれるでしょう。穏やかなナイルの風景と、変化の波が押し寄せる国の躍動。その両方を体験できた今回の旅でした。

昨年からジョセル王のピラミッドの内部も見学が可能になりました
コロナ以前にギザのピラミッドを訪れた人はここがピラミッドエリアの入り口という事が信じられないのではないでしょうか
3大ピラミッドやスフィンクス、河岸神殿は専用の電気バスで移動

不変のすばらしさに心を奪われる一方で、肯定的な変化が旅を新たに彩ることを、今回はあらためて感じる機会となりました。初めてエジプトを訪れる方には、ダハベイヤ船がもたらす静謐で豊かな時間を、そして再訪の方には、風の向きが少し変わるように訪れる「新しいエジプト」の魅力を、きっと感じていただけることでしょう。
弊社では、これからもダハベイヤ船を利用したコースを今後も発表予定です。どうぞ、次の旅路にもご期待ください。

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