2020年5月13日更新

第7回 倉敷・大原美術館×エル・グレコ 受胎告知

大原美術館外観
「エル・グレコ 受胎告知」

西洋絵画で最も多く描かれた題材は「受胎告知」ではないでしょうか。ほとんどの画家が一度は描いたことがあると言っても過言ではありません。世界的に有名なものだけでもフィレンツェのウフィッツィ美術館収蔵のレオナルド・ダ・ビンチ作の受胎告知、同じくフィレンツェのサン・マルコ美術館にあるフラ・アンジェリコの受胎告知をはじめ、各教会には必ずと言っていいほど受胎告知の絵があります。今回は倉敷の大原美術館にあるエル・グレコ(1541~1614)の描いた受胎告知をご紹介します。
エル・グレコ 「受胎告知」
「受胎告知」とは新約聖書に書かれたエピソードの一つであり、聖母マリアのもとに大天使ガブリエルが降り、マリアが精霊によってキリストを身ごもったことを告げ、またマリアがそれを受け入れたことを告げる場面です。

そのテーマは同じでも描き方は画家によって千差万別、例えばレオナルド・ダ・ビンチの作品では解剖学まで学んだダ・ビンチらしく、実際に人間の背中にこのような羽がついていたら実際に空を飛べるだろうと言われるほどの精巧な天使の羽を描いています。対して、エル・グレコはマニエリスムの影響が強く、人間の身体が長く伸ばされ、強調されたポーズが印象的です。また、色彩やタッチの強く荒々しいダイナミックな作品となっています。ダ・ビンチとは正反対ともいえる大胆なデフォルメ、鮮やかな色彩こそがエル・グレコの特徴と言えるでしょう。

また、エル・グレコの作品によく見られる手を天上に向けたモチーフも、場面の劇的な緊張感をより強調するのに効果的です。聖母マリアは大きく身をよじらせ、天使の突然の出現に驚きながらも、片手を挙げて天使を迎え、しっかりとした視線で天使を見上げながら、そのお告げを受け止めています。この作品の中にエル・グレコらしさが存分に示され、誰が見てもエル・グレコの作品だとわかるのです。
彼の代表作ともいえるでしょう。
この作品のある倉敷の大原美術館は他にもマネ、モネ、シャガール、ドガ、ルノワール、ピカソ、セザンヌ、シャガール、クールベ、ミレー、ルソーをはじめ、西洋の一流の画家の作品も置かれていますので、ぜひゆっくりご覧ください。
 

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次回は長野県・井戸尻考古館をご紹介します。お楽しみに!
次回更新予定:5月20日(水)

東京支店:中屋雅之


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