2020年4月29日更新

第5回 テヘラン・アーブギーネ・ガラス博物館×ササン朝ペルシャのガラスの器

「ササン朝ペルシャのガラスの器」

ガラスの歴史は紀元前2250年頃、古代メソポタミアに始まると考えられています。
しかし、大きく発展したのは紀元前後〜紀元後4世紀、ローマ帝国からササン朝ペルシャの時代にかけてだと言われています。
アーブギーネガラス博物館 テヘラン
このガラスの歴史が一目でわかるのが、テヘランにある「アーブギーネガラス博物館」です。

この博物館は建物自体も18世紀のカジャール朝時代の有力者の邸宅であり、そのアールヌーボー風の階段や天井装飾など見応えがあります。
ここには古代から現代に至るまでのガラスと陶器が展示され、その歴史がよくわかります。
 

ここで特にご注目いただきたいのが、ササン朝ペルシャの時代のガラスの器です。
その大きな特徴は器の表面全体に凹凸のある円形模様を削りだす切子技法が施されています。

これを見ると、そっくりなものが日本にもあることをご存じでしょう。奈良の正倉院の宝物の一つ、ペルシャ伝来のガラス「白瑠璃碗」(はくるりのわん)です。イランにある同種の器は古墳の中から、あるいは土に埋もれた遺跡の中から発見されたものが殆どで、当時の輝きは残されていませんが、正倉院のものは作られてから一度も土に埋まったことがない当時の姿をそのまま留める器として貴重なものです。

この博物館で見られる器も、もともとは透明で、一つ一つの切子に反対側の切子が無数に映り、輝いていたことでしょう。 これはササン朝ペルシャからシルクロードを通じて日本にやってきたものにまちがいありません。
当時、ペルシャと日本が繋がっていたということを証明する重要な遺物といえます。

次回はドレスデン・アルテマイスター絵画館をご紹介します。お楽しみに!
次回更新予定:5月6日(水)

東京支店:中屋雅之

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ササン朝ペルシャのガラスの器