視察レポート

視察レポート

2021年03月25日

宮沢賢治の故郷・花巻を歩く

東京支店 酒井康行

 宮沢賢治は1896年(明治29年)8月27日、稗貫郡(ひえぬきぐん)花巻川口町(現花巻市豊沢町)にて質・古着商を営む宮沢政次郎とイチの長男として生まれました。詩人、童話作家、教師、科学者、宗教家など多彩な顔を持つ一方、1926年(大正15年)には農民の生活向上を目指して農業指導を実践するために羅須地人協会を設立。多方面で活動を行いますが、無理がたたり病に倒れ、1933年(昭和8年)9月21日、37歳の若さでこの世を去りました。生涯で多くの短歌や詩、童話などの作品を遺しており、現在では国内、国外を問わず親しまれていますが、生前に刊行された著書は2冊だけでした。
 このたびは、宮沢賢治の故郷・花巻にて、宮沢賢治ゆかりの地や宮沢賢治を知ることの出来る施設を訪ねましたので、ご紹介致します。

宮沢賢治の生家跡を訪問

 花巻駅を出発し徒歩にて約30分、花巻市豊沢町に宮沢賢治生家跡地があります。当時の建物はいっさい残っておらず、今はそれをあらわす石塚があるのみですので、言われないと通り過ぎてしまうかもしれません。ここで、宮沢賢治は1896年に産声をあげ、その後、童話作家をはじめとして、多方面で活躍したのでした。
 また、その途中にあるのは開業して30年弱の「林風舎」。1階にはオリジナルのグッズや宮沢賢治をモチーフにした版画、置物などがたくさん並び、奥には原稿の複製などもある、宮沢賢治を感じることの出来るカフェです。実はこのカフェ、宮沢家が営むカフェで、宮沢賢治記念館とは別の形で、ゆかりの物を紹介しているのです。ちなみにアンティーク家具が置かれたカフェのイメージは、「注文の多い料理店」だそうです。

このたびの視察は花巻駅から出発。
花巻駅を出発して3分程で林風舎に到着。
宮沢賢治生家跡地

宮沢賢治ゆかりの博物館巡り

宮沢賢治記念館
 昭和57年(1982年)に、宮沢賢治ゆかりの地、花巻市胡四王山に開館した宮沢賢治記念館。多彩なジャンルに及ぶ宮沢賢治の世界と出会える施設です。スクリーン映像や関係資料にて、分野ごとに解説されているとともに、作品に至る創作過程、最新の研究成果などが展示紹介されています。宮沢賢治のイーハトーブの世界、すなわち賢治にとっての理想郷に、是非触れてみてください。

ツアーではバスで山頂まで行けますが、今回は頑張って階段を登って行ってみました。
気が遠くなるような階段です…
段数は合計367段。1段1段、ひらがながふられていますが、実は続けて読むと、賢治のメッセージになっています。応援されている気分にもなりますし、読んでいると、意外とあっという間に到着出来てしまいますよ。
宮沢賢治記念館に到着です。
入口には賢治の作品にもしばしば登場し、花巻市の鳥ともなっているクリスタルのフクロウの像が出迎えてくれます。
記念館内は撮影禁止ですが、唯一、奥にある展望スポットは撮影可能で、周囲の景色も見渡せます。
記念館のある展望台からは岩手県最高峰、標高2038mの岩木山が望めます。
日本百名山のひとつにも列せられる標高1917mの早池峰山(はやちねさん)。手前左手に見える白い建物は東北新幹線の新花巻駅です。
記念館のすぐ近くには、レストランやお土産屋さんが入る「注文の多い料理店 山猫軒」があります。
イーハトーブ定食。白金豚の角煮・季節の3点盛り・じゅんさい・すいとん・果物他と、食べ応え十分です。

宮沢賢治イーハトーブ館
 宮沢賢治に関する数多くの図書や研究論文のほか、様々なジャンルの芸術作品を収集・整理・公開しており、誰でも自由に賢治の世界に触れることが出来ます。

イーハトーブ館外観
イーハトーブ館内部

宮沢賢治童話村
 宮沢賢治童話村は、今にもジョバンニや又三郎、山猫が出てきそうな賢治童話の世界を楽しく学ぶ「楽習」施設です。「銀河ステーション」、「天空の広場」、「賢治の教室」、「妖精の小径」、「ふくろうの小径」、「山野草園」、そしてメインに「賢治の学校」があります。賢治の学校の中は、「ファンタジックホール」、「宇宙」、「天空」、「大地」、「水」の5つのゾーンに分かれていて、また、ログハウス展示施設「賢治の教室」では、童話に登場する「植物」、「動物」、「星」、「鳥」、「石」に関する展示を行っています。


敷地に入ると銀河トレインが出迎えてくれます。
ファンタジックホールは、いくつもの「賢治の椅子」が置かれた不思議な空間です。賢治の世界へと向かうプロローグの場として設定されています。
宇宙の部屋。3枚の鏡で構成された巨大な万華鏡の空間です。ストロボライトや光ファイバーを使った光による宇宙空間をイメージした世界が広がっています。
大地の部屋。イーハトーブの自然に生きる昆虫や草木などの巨大な造形が飾られたジオラマ空間です。訪れる人が巨大生物の世界に迷い込み、自分がまるでアリほどの小さな生物になったような不思議な気分が味わえます。
こちらは「セロ弾きのゴーシュ」の最初のシーン。
童話の世界がシーンごとにジオラマで再現されています。
「賢治の教室」から「賢治の学校」を望みます。
ログハウス風の「賢治の教室」内。こちらは「動物」がテーマの部屋です。

宮沢賢治だけではない 花巻を学ぶ

新渡戸稲造記念館
 花巻というと宮沢賢治の印象があまりに強いですが、他にも歴史上、花巻にゆかりのある人物は結構います。その筆頭が新渡戸稲造です。
 「願はくはわれ太平洋の橋とならん」の信念のもと、国際人として活躍した新渡戸稲造。彼の先祖は1598年(慶長3年)から約230年間、花巻の地に居住し、花巻城士の文武両道にわたる指導にあたるとともに、新田開発に情熱を傾けた一族でした。
 新渡戸稲造の祖父、傳(つとう)は、1855年(安政2年)、不毛の地だった三本木原への上水開削に着手し、父(十次郎)、兄(七郎)と三代にわたって、現在の十和田市発展の基礎を築きました。
 花巻新渡戸記念館は、これら新渡戸家の功績とゆかりの品々、さらには新渡戸稲造の世界等を紹介する記念館です。生涯を国際平和と教育に尽くした新渡戸稲造博士のルーツを、そし稲造の世界を、是非お訪ねください。

新渡戸稲造記念館の外観

記念館の手前には新渡戸家屋敷跡もございます。

花巻市博物館
 宮沢賢治童話村のすぐそばに位地する花巻市博物館では、縄文式住居や古墳、城下町のようすや花巻人形など、縄文時代から現代までの花巻地方の歴史や文化、暮らしを「考古」、「歴史」、「美術・工芸」の三分野に分け展示、紹介しています。

花巻付近から発掘された土器の数々
江戸時代初期に宿場町として整備された花巻。当時の暮らしぶりがわかる展示も充実しています。
鉄錆地桶側二枚胴具足(岩手県指定有形文化財)。北松斎着用と伝えられ、実戦向きの甲冑です。胴中央に3つの神号が銀象嵌されています。鉄板を留めている鋲は、7種類の花びらをかたどっていて、金銅製の座金の上に置かれています。
鶴蔭碑(かくいんひ)は、1891年(明治24年)10月に花巻城三の丸跡に建てられました。碑面には、安永年間から明治初めにかけての約110年間に武芸・文学・書画・和歌・俳諧などの分野で活躍した先人194人の名前と建立の理由が刻まれています。

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