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黄金のモザイク輝く 世界の中心だった港町 ラヴェンナ

 
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寄り道したい小さな町・中世薫る町

黄金のモザイク輝く 世界の中心だった港町
 ラヴェンナ

絵の具など存在しなかった1500年前、それでも「表現」したかったラヴェンナの「芸術家」は、神の世界を描くために黄金のモザイクを生みました。一片一片に職人たちの必死の思いが伝わってくるようで初めて目にしたときは、ガイドの話を聞くのも忘れ、ただじっと見つめていたように思います。今回は、ラヴェンナをご紹介します。

ローマ帝国の都だったラヴェンナ

今でこそ海が後退し、内陸都市となったラヴェンナですが、2000年前は海港都市でした。初代ローマ皇帝アウグストゥスは、ここに軍港を建設し、以後古代ローマにとってアドリア海側の最重要拠点となりました。

黄金のモザイク

現在のイタリアの地図の都市名を追ってみても、誰もラヴェンナがアドリア海の中心だとは思わないでしょう。今はベネチアの名が燦然と輝いていますが、ベネチアの歴史はせいぜい1300年で、当時、ベネチアはまだ存在しませんでした。ラヴェンナは、アドリア海の最北にあって、ほどよい潟に囲まれた素晴らしい港町だったのです。

あまり知られていませんが、ローマ帝国が東西に分裂した後、最後の数十年間、ラヴェンナは西ローマ帝国の首都となりました。地中海の地図を見るとスペインからギリシャにかけてのちょうど真ん中に位置し、つまり世界の中心であったともいえます。キリスト教が広く認められ始めた4世紀末以降、中心のラヴェンナには当然、初期キリスト教文化が育まれ、聖地に近い存在となりました。

しかしほどなく異民族の侵入によって西ローマ帝国は崩壊し、ラヴェンナも陰りを見せます。そこに東ローマ帝国皇帝ユスティニアヌスがやってきて、街を奪い取り再び教会堂を建築しました。これが現在のサン・ヴィターレ教会です。彼は敬虔なキリスト教徒であったため、是が非でもラヴェンナが欲しかったのでしょう。こうして一時、首都にもなったラヴェンナもユスティニアヌス以降、影を潜め、再び歴史の表舞台に出てくることはありませんでした。代わりにベネチアが台頭していったのです。

世界に誇る黄金のモザイク

そんなラヴェンナに、ひとりの詩人がやってきました。彼の墓はここにありますが、なぜ彼がこの街を選んだのか私にはわかりませんでした。しかし、ユスティニアヌスが残したサン・ヴィターレ教会の中に立ち、まばゆい黄金のモザイクを目にしたとき、わかったような気がしました。熱愛していたベアトリーチェの死、フィレンツェを追放され、『神曲』の中で教皇を次々に地獄に墜とした詩人。流浪の旅を続け、挫折と理想の狭間を行き交った彼にとって、このモザイクが放つ光は、神へと導く光に映ったのではないでしょうか。ダンテ・アリギエーリは、今もここに静かに眠っています。

ユスティニアヌスが現代に残してくれた黄金のモザイクは、レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」に引けを取らない傑作と私は密かに思っています。

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サン・ヴィターレ教会

サン・ヴィターレ教会は八角形をしています。諸説ありますが、この「8」は古代のラッキーナンバーです。フィレンツェやピサの洗礼堂も八角形をしていますが、実は最初に洗礼堂が造られ、大きさが足りなくなって、隣に大聖堂が建設されて現在の姿になりました。つまり初期の建築は、八角形もしくはユダヤ教のシナゴーグを模したものからスタートしたのです。

サン・ヴィターレ教会は、初期建築の面影を残している様が私は大好きです。外壁と内側、二重の八角形、その空間にやんわりと射し込む光、光を補う黄金のモザイク、ゴシック教会のステンドグラスもいいですが、その光の加減が心地よく感じます。よく見かける、後の文化が生み出した、身廊部分が長いラテン十字型の教会も素晴らしいですが、この四方を八角形でぐるりと囲まれた世界にこそ神秘性を感じてしまいます。

黄金のモザイクの秘密

モザイクの起源は、紀元前40世紀ごろのメソポタミア文明に遡るといわれます。初めは小石や陶器のかけらを並べた単純なものでしたが、ギリシャで白大理石、黒大理石を利用した床面装飾ができ、古代ローマにおいて色彩豊かな大理石の発見により急速な発展を見ました。しかし黄金の大理石は存在しないのに、黄金のモザイクがラヴェンナにあるのはなぜでしょう? これは金箔を薄いガラス板で挟んだのです。これに様々な色の鉱石も利用して、色彩豊かなモザイクを作り上げました。

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