ひと工夫して訪ねる 素顔のカリフォルニア
このたびの「カリフォルニアの真髄」では、あえてディズニーランドや砂漠に現出する不夜城ラスベガスといった、ファミリー向けの一般的な観光地を避けて、「グリーンカリフォルニア」と呼ばれるサンフランシスコ周辺の北カリフォルニアに焦点を合わせている。その代表格が、サンフランシスコ北郊外27キロのミュアウッズ国定公園のレッドウッド(セコイアメスギ)原生森林だ。高さ80メートルほどの大木、なかには樹齢700年以上という巨木も群生していて、静寂、淡い木漏れ日の中の一時間ほどの軽いウォーキングで私たちを落ち着いた気分、神聖な気持ちにさせてくれる。
朝、ホテルを出発。対岸の原生森林公園までは、あのゴールデンゲートブリッジを渡って、うれしいことにわずか40分強で到着する。公園での森林浴も兼ねたウォーキングの後は、お洒落なベイエリアでちょうど南仏の雰囲気を持つサウサリートの町で小休止。芸術家や音楽家が好んで住んでいるという。ここから北上して、いかにもカリフォルニアらしい白人が暮らすコルト・マデラのマーケットモールへ。ガイドブックには登場しないが、軽いランチや散策にぴったり。道行く人々もお洒落で豊かな感じの人がほとんどで、のんびりとした気分にさせられる。
観光客の多いサウサリートからのフェリーは避けて、わざわざ住民たちの足になっているテイブロン港からのフェリーで、サンフランシスコの町を目指す。ウイークエンドなど混雑で乗り切れないサウサリートのフェリールートは少々危険だからだ。こういう工夫も視察をしないと発見できない。潮風を受けながら、海上をフェリーでサンフランシスコの中心街が次第に近づいてくるのは、これまた気分の良いものである。潮のにおいはほとんどしない。40分ほどの船旅でフェリービルの船着き場に到着。ここもひと工夫。一般観光客はほとんどがフィッシャーマンズワーフを目指すが、したがっていかにも観光客いっぱいのルートになってしまい、あまりおもしろくないので、もうひとつのフェリービルへのルートを使う。
それはこの歴史的建造物(サンフランシスコがかつて海運の拠点であった当時、中心であった建物)が、時代の変遷とともにその存在価値が薄れていくなかで、最近、時代の先端をいくオーガニックな数々のショップやレストラン、カフェなどが集中してオープンし、市民の脚光を浴び始めているからだ。観光客はまだ少ないが、お洒落を好む市民でけっこう賑わっている。店舗の一軒一軒が個性と魅力に溢れているので、思わず立ち寄って覗いてみたくなる。フェリー到着後に、この最新スポットをご紹介することにした。もうひとつ、サンフランシスコの玄関口だっただけに地下鉄、オールドストリートカー、そしてサンフランシスコ名物のケーブルカーの始発駅がこのフェリービル付近に集まっているのもありがたい。どれを利用してもユニオンスクエアのホテル・ウェスティンまで簡単に戻ることができる。皆さんには3日間有効のパスをお渡しすることにしたので、チケットを購入することなく、このパスを見せるだけで乗車できる。治安が良いのも安心だ。
港町モントレーで過ごす 気持ちのいい時間
一方、サンフランシスコの南200キロあまり。モントレー半島を訪ねてみよう。カリフォルニア州の最初の州都が港町モントレーである。それだけに小さいが歴史を感じさせるこの町並みは散策にうってつけである。とくに、旧港のフィッシャーマンズワーフは、サンフランシスコのそれとは比較にならないほどこぢんまりしているが、築地の場外市場のようで活気があり、雰囲気があってうれしくなる。レストランが軒を並べているが、私たちはオーナーが自ら店頭で呼び込みに精を出す「ドミンゴス」を選んだ。奥さんやシェフもテーブルに顔を出す庶民的な店だが、味は太鼓判でとくにチョッピーノは絶品であった。これは、きっとワールドの舌の肥えたお客様に喜んでいただけるに違いない。逆に油が濃すぎるので、予定していたレストラン「サーディンファクトリー」はやめることにした。視察ではこういった味の下見も重要である。
さて、モントレーからは17マイルドライブを楽しもう。海岸線に沿ったカーブの多い道をのどかにドライブ。日本の海岸にも素晴らしいドライブルートはあるが、何かが違う。そう、電柱や電線の類が一切見えないので、自然景観が損なわれずに気持ちがよい。ビーチではなく、切り立った岩壁がそのまま太平洋と接していて、けっこうな波頭が打ち寄せている。いくつかの見どころで車を停めながら南下していくと、そのうちペブルビーチ区域へ。右側が太平洋、左側にはいくつものゴルフ場の芝が広がる。私有地なので、自分の好きな時間にゴルフを楽しむ人の姿を眺めることができるが、なんとも贅沢な光景である。最も有名なペブルビーチゴルフコースには、それこそゴルフ界の偉大なプレーヤーの記念碑、トム・ワトソン、ゲーリー・プレーヤー、ジャック・ニクラス、もちろん最近はあのタイガー・ウッズの名も刻まれている。優雅でしかもダイナミックなゴルフコースなので、ディナーでなく眺めの良いランチタイムに変更することにした。レストランからのグリーンが目に鮮やかである。
また、モントレーが生んだノーベル賞作家といえば、『エデンの東』と『怒りの葡萄』のスタインベックだが、実際の生家は30キロほど内陸のサリナスの村にあって、今回はここを訪れるプログラムを組んだ。スタインベックセンターは近代的な立派な建物だが、私には彼の生家のほうが印象に残った。当地では中級の邸宅だが、やはり歴史を感じさせるビクトリア調の建物で、今はレストランになっている。半地下がミュージアムショップで、ボランティアの近所のオバチャマたちがにこやかに迎えてくれ、誠に感じが良い。小さなお土産でもひとつ、という気にさせられる。日系のヨーコさんという70代前半の方に、夏に日本からのグループが来ますよとお話ししたら、それはうれしそうに、日本語で「喜んでお待ちしています」と言ってくれた。
フリーパスでサンフランシスコ・ウォーク
3日間パスを駆使してのサンフランシスコウォークもおすすめである。これを見せるだけで、トラムやケーブルカー、公共バス、地下鉄などに、気軽に乗れる便利なパスだ。坂の多いサンフランシスコを公共交通機関を乗りこなしての楽々ウォークは、この町を深く知るのに最適である。乗り換え一回で東のはずれ、全米でも指折りのヨーロピアンアート(エルグ・レコ、ピカソ、コロー、ドガ、マネ、モネなど)の殿堂、リージョン・オブ・オナー美術館まで、公共バスで約40分。アメリカで最も美しい美術館といわれる建物も見事なものだ。すぐ近くには咸臨丸の記念石碑が鎮座していて、この丘の上からの太平洋側からのゴールデンゲートブリッジの遠望もまた印象的であった。
市内に再び公共バスで戻り、チャイナタウンを歩いたり、アメリカで最も美しい建築物のひとつといわれる市庁舎を訪ねたり……と、タウンウォッチングには事欠かない。この機会に、サンフランシスコを知り尽くしたいものだ。少々散策に疲れたら、とにかく中心のユニオンスクエアに戻って、ホテルの客室で休憩できるのが何よりうれしい。自分のペースで心ゆくまでサンフランシスコを堪能していただきたいと思う。
The Westin St. Francis ザ・ウェスティン・セント・フランシス
何より立地が素晴らしい。サンフランシスコの中心ユニオンスクエアに面して建つ堂々たる歴史的な建物。少々古びた感じの本館には、昭和天皇、ケネディ、ルーズベルト、エリザベス女王、田中角栄など、世界のVIPが宿泊している。その背後に立つタワー(新館)の18階以上の広々とした客室が皆様の4泊の滞在ルームです。存分にサンフランシスコの中心部の眺めをお楽しみいただけると思います。
※このたびは坂の町サンフランシスコの中で足の便の良い、目の前がケーブルカーの停留所、そしてユニオンスクエアという立地でホテルを選んでおります。スリッパとバスローブおよびシェーバー、歯ブラシは用意されておりませんので(ヘアドライヤー、ミニバーなどはあります)、お含み置きください。 |